初めてのレスタミン

仕事に行きたくない。

起き上がれない日が続いて前日病院で休職するよう伝えられたばかりだった。

電車を見ればどのタイミングで飛び降りれば死ねるんだろう。

やたら休日に苦痛で泣くことが増えた。

座席が埋まってれば床に座って目的地まで待つほど立っているのが苦痛だった。

この一週間、食欲が減退し仕事の休憩中のご飯はまともに体に入らなかった。

半分食べたら残す、夜勤の日は1人だから残しても捨てても誰にもバレないので袋に入れて捨てていた。

職場に行く前に低血圧なのか低血糖なのか仕事着に着替える前に脱力で立ってられない。

何とか着替えて仕事の準備をしても朝の挨拶でしゃがみこんでしまう。


でも仕事しなきゃアルバイトは禁止されてても学生時代からやってたから無職であることが私は耐えられなかった。

休日に風俗の仕事を入れていたけど、体力がなくて気絶寸前で今までの中で1番苦痛だった。風俗も本職も出来ない、稼ぐ手段がない、生きてる価値がない。


そんな中自暴自棄でレスタミンに手をつけた。それが私の初めてのODだった。


その日も朝から食べてなかった。

元々朝は食べないので気にしてなかった。

既に休職して間もなかった。


レスタミンコーワ801瓶を購入していたので昼過ぎに一気に飲んだ。

致死量出ない事は分かってたし幻覚さえ見れれれば良かった。


ただ2階の寝室から起き上がるのは危険そうなので1階の親の寝室で摂取しいつも通り布団でよこになっていた。


効いてきた時間は分からない。そのまま仮眠を取った後、目を覚ますと

「みるくー!」

居ないはずの母親の声が玄関から聴こえる。玄関に向かうけど母親の存在はない。


自分部屋に戻る。

今度は「びんぽーん」とアラームが鳴る

急いで玄関に向かう



まただれもいない。


ただ


玄関の小窓を覗くと

小さな男の子が私の父親の傘を握り締めこちらを見つめている。



何となく不吉な予感がして開けられなかった



その後も何度も(ピンポーン)(みるくー!)

と玄関から聞こえるので玄関を行き来ばかりしていた。


その間も男の子は隅に傘を持って立っている。



繰り返すうちに男の子から玄関をあけてないのに声がきこえるようになった。



「早く開けないとどうなるか分かってるの?」「ねぇ早く開けて」



それはホラーが苦手な私にとって恐怖を煽り不安が加速した



怖くて開けることすら出来ない


ただじっと小窓を見ていた



何故か小窓から私を的確に捉え、全てを見透かされてるような感覚に陥る。


怖いのでまたベッドに篭った。



「宅急便です」

宅配物が届いた。幻覚?幻聴?頭も混乱しているので玄関に向かう


小窓にそれらしき人物が立っていた。


隅に例の男の子も写っていたが。


とりあえずフラフラで混乱する頭の中、普段を装い宅配物に印鑑を押し受け取った。


受け取ると男の子が入ってくる......!!

そう思い急いで鍵を閉めチェーンを掛ける。


「ちっ」明らかに男の子の舌打ちが聞こえた。「開けろよお前わかってんのか」



また直ぐに布団に戻る




そこでふと気づく。

あれ?身体熱くない??

体温=38.5


熱があんじゃん



再びベッドに戻ると身体を丸めこめ目を閉じた。




.........



気づいたら眠っていた


「ただいまー」


母親の声がして飛び上がろうとする



体がだるくて動かない



重い...まぁ熱があるし仕方ない。


朦朧とした意識の中親が来るのをベッドで待ち続けた。

この時母親にベッドの中で1時間ほど隠していた風俗のことを耳元で呂律が回らない中話し続けたという。


顔もおかしい。


熱もありそうだ。


母親は再度熱を測るように私に指示した


体温=40.0度。

トイレに行くのもやっと。


フラフラしながらトイレで排泄する。


時期に父親が帰ってきて気づいたら病院に連れてかれた。父親が肩を抱いて車でも寝かしてくれた。


何をしましたか?「分かんないです」

病院で立ってるのも辛いし気持ち悪いし、ふらふらするのに座ってなきゃいけない。


頑張って看護師の診察を受けた。

母親が間に入って

「最近精神科で薬を処方してもらったばかりです」とか言ってた。

全然覚えてない。まだ意識が朦朧としていた。


夜間だと言うのに大きい病院にはたくさんの患者がソファに腰掛けていた。

脱力感が強く私は立っているのが苦痛なので1人横になっていた。

アクエリアスをもらい口を付けるがなかなか飲み込めない。


それでもトイレには何度か行った

なかなか排尿出来ず酷く時間がかかった。

診察前に3度は行ったと思う。


ようやく名前が呼ばれドクターと話すことになる。相変わらずODのことは言わず突然の高熱、食欲が数日前から減退し2週間で3キロ以上痩せたこと(元々BMI内)休職を始めたばかり等それらしきものは述べた。


手を並べると自分でも分かるほど震えていた。真っ直ぐ伸ばしても手が安定しない。

お決まりの聴診器で呼吸音を聞かれ直ぐに追い出された。


再び横になり順番を待つ。

アクエリアスは中々減らないのに4回目のトイレに向かった。


その後心電図を取るから横になってと言われ6人一部屋であろう隅に寝かされた。


速やかに心電図を取り終え言われたとおりそこで待っていた。

既に親に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。まさか高熱が出るとは思わなかった。


したら若めの看護師がブドウ糖入りの点滴を持ってきた。血管が良く出るので間違えることなくスムーズに刺したかたか目の前で点滴が落ちていく。



ぁぁ脱水の診断がでたんだな。そう思いながら2時間程かけて点滴は落とされた。

2本目も置いてあったけど顔色も良くなったのかやること無く母親と二人きり無言でカーテンで区切られた空間にいた。


とりあえず点滴してる写真を母親に撮ってもらい終わった頃に抜針し父親に肩を抱えてもらいながら解熱鎮痛剤を処方してもらい15000円程支払い病院を後にした。


終わったのが23時頃

自分一人でいるとまたODしかねないので母親の言う通り親と一緒に眠ることになった。


次の日には解熱し幻覚・幻視・幻聴も無くなり倦怠感は依然としてあってベッドから起き上がれなかったが(恐らくうつの症状もあった)穏やかな1日を迎えられた。



とりあえず病院に連れてかれるからレスタミン801瓶飲むのは止めようと決意した。



うっかり多量に飲むとめっちゃお金取られるからほどほどにね~