自傷行為③

でも多分彼女は自傷行為

今はかろうじて自粛している。

そこにはきっかけがある。





その頃は

連日のように自傷行為

繰り返していた。


徐々にかなり過激になり



私の前で




カッターで

前腕部一体を滅多刺し。




血塗れに染まる彼女の腕を見るのが怖くて泣き叫んだ。


やめてくれ。



あれはこびりついて離れない。だから献血は好きでもリスカをする女の子や男の子達を見てると本当に悲しくなる。




こんな日は彼女からすれば当たり前になっていた。


そのうち私の存在や自分への後悔、周囲の目など何かを理由にしては死ぬ気で自傷行為を繰り返した。


出来たての傷口を見つける度に


母親は何度も怒った。


何度も泣いた。


辛くて怖くて悲しくてあの場に居たくなかった。私だって生きてたくなかった。





またみるくがやったの?!


よくこれを言われた。


原因はお前か?何をしたんだと。


してないというしかない。


その頃はもうめちゃくちゃ。


刃物もカッターとかだったのに

彫刻刀も使いだした。


あの子の周りの文具は血塗れだった。切れればなんだって良かったんだろう。、





その日も親と喧嘩した夜のこと。


喧嘩が済んで向かった先は自室。

(当時は私と同室だった)


私は当然離れていたので彼女のそばにはいなかった。



自室から聞こえてくる妹の泣き声。






泣きながらリストカットする妹を母が現場で抑えた。


すぐに救急車が来て彼女は運ばれた。


白い壁にもピンクのカーペットも色濃く残る血痕。何度も取り除くけど取れなくて。


私はじゃじゃ馬にならないように

1人家で眠っていた。






起きると彼女は何針か処置してもらって帰ってきていた。


この後から彼女は自傷行為はしてない。

救急車は暫く家に来ることは無いだろう。



後に母親から妹について

聞いていくうちに

分かったことがあった。



「あれは多分医者と私が相当揉めたからだろうね」

「なんで揉めるの?」

「救急車呼ぶなって?」

「それもあるし...精神科をすすめられたから」

うん

「でも妹は精神科に行くのを嫌がってるんです。本人が自分の意思で行こうと決めるまでは行きません。」

「母親なので彼女を信じています」

「救急車呼ばれてみんなに迷惑をかけるってわかってくれただろうから」


と母は話してくれた。


彼女はきっと精神疾患を付けてメンタルクリニックにあの頃から行く必要が充分にあった。それでも薦めず信じ続ける母の思いが妹にきいたのだろう。




今もとんでもなく女王様のように偉そうに振る舞う彼女だけど、自分を傷つけるのは辞めてくれた。


私も見ていてとても辛かった。


助けたくても邪魔者だし、時には原因になってるのにしてあげることは無かった。



何重に何重に重なった自傷痕は

5年以上経った今もあの頃を忘れさせまいと残り続けてる。


彼女はそれを背負っている。